ミスター・グッドバーを探しての彼女が来なくなって、五年いや六年・・
はじめ彼女の話すことは要領を得なかった。いかにも音楽が好きということをしきりに話してるようだったけれど・・
そのうちある男が飛びついてしまった。バーでの出逢いにあれこれいうことは出来なかったが、店主の勘で一応、常連の男性陣にはあの娘はちょっと危ない・・ということを臭わせておいたのだがである。
それから来なくなった彼女にミスター・グッドバーを探してのおんな、と密かに呼んでいた。
男のほうも演奏するとき意外は顔を出さなくなっていた。季節は秋から冬に、そしてクリスマス・・暫くは傍観していたが、どうも様子の変わった彼に話しかけてみると、別れたという・・
年が明けてから、ミスター・グッドバーを探してのおんなが、またちょくちょく来る様になった。
誰構わず話しかける彼女だったが、ある夜、残念なことにカウンターに誰もいなかった・・・
わたしも聖子さんも彼女に近づかない・・重い時間が流れる・・おもむろにバッグから携帯電話を取り出し、話しながら外に出て行った。カウンターには何もない。注文した飲みかけだったジーマも持って出たのか! あわてて追っかけようとする聖子さんを制止・・・
さすがのミスター・グッドバーのおんなはそれっきり現れなくなった。
そんなことを思い出すほど寒い今日だった・・はは