上海にて

トランクケースが出てくるのをまだかまだかと待ってたら、ある細身の男性が近づいて来た。顔と顔が近づいて……なんと広島でも三年近く合っていなかったO氏だった!
なんという偶然、

彼が中国人と仕事していることは聞いていたが、まさか上海で出会えるとは、しかし彼からすればわたしが上海にいることのほうが驚きだったはずである。

同じ飛行機に搭乗し、最後尾にいつも座る彼は、かなり前からわたしの事が気になっていたらしく、わたしの旅行用の帽子が彼には違和感があり、なかなか声をかけることを躊躇させたようである。

つづく