そんなバナナなお話

トーストなる食パンを我が家に持ち込んだのは、小学生1-2年頃の僕でした。父親の仕事柄か母親の商売柄のおかげで、割と良い暮らしぶりだった我が家には、お中元・お歳暮を戴く機会も多く、ある日トースターがやってきました。家族で使い方のわかるものは当然おらず、さっそく菓子パンよりも高価な食パンとバターを買ってきたのは、言うまでもなく僕でありました。その当時、6枚切りしか売っていませんから(今では考えられない)なにも考えず済んだことを思い出します。トースターの上部の二箇所の開口部に1枚づつ2枚入れ、手動ハンドルを廻します。垂直に並べられた食パンは静かにトースター内部に吸い込まれ、両サイド・中央の電熱ヒーターによって焼き目がつく仕組み。頃合いを見計らい、また手動によって地上へと持ち上げる。目を離したり、続けて焼こうとすると真っ黒になることも常でした。おまけに頑固なバターと粉ぽっい食パンの相性は最悪で、溶けきれないバターはトーストの表面を凸凹にし、他に使われないため、いつまでも冷蔵庫の中で眠り続けることとなるのでありました。そんな訳で、やがて家族の者はトースターの存在を忘れさり、あきない僕だけが日曜日の朝だけトースターを使いこなしていた。えっ?バター?それはまた次回に・・・